平面図から3D構成し紹介動画を構築できるように
先日、とある会社より、鉄筋コンクリート造4階建ての集合住宅の図面をお預かりしました。
お預かりした図面を確認すると、
- 40年ほど前に手描きされた紙図面のスキャン(PDF・10ページ)
- ページは90°回転したまま、線は薄く、寸法の文字も細かい
- CADデータは残っていない
- 家具は描かれておらず、キッチン・浴室・トイレのみ
などなど。
この図面から、AI(人工知能)を使って、建物全体(1〜4階・全12戸)をブラウザで回して見られる3Dビューアと、約50秒の紹介動画を制作させていただきました。
(ぼかした図面)

この記事の結論
- 紙の平面図スキャンしかない4階建て・全12戸の集合住宅でも、AIで3Dビューアと紹介動画まで作れた
- 作業は約55分、うちスキャンの歪み補正と寸法の読み取りが約20分、動画2本の録画が約14分だった
- 精度を決めるのはAIより図面の状態で、CADのPDFがあれば読み取りの手間はもっと小さくなる
制作した3Dビューアと紹介動画
まずは完成したものから。紹介動画は、外観から始まり、分解ビュー、各階の組み立て、住戸タイプごとの寄り、白模型へと流れる構成です。
3Dビューアは、ブラウザだけで動く1枚のHTMLファイルです。インストールは要りません。

できることは次のとおりです。
- 階の切り替え・・1階/2階/3階/4階/全体
- 視点・・斜め/正面/真上、自動回転、断面、分解、全画面
- 表示・・カラーと白模型の切り替え、室名の表示・非表示
- 家具・設備・・クリックすると幅・奥行・高さと設置場所を表示
- 組み立て再生・・部材が工程順に積み上がっていく様子を再生

状況(お預かりした図面)
対象は、1階が駐車場とエントランス、2〜3階が各4戸、4階が4戸という構成の集合住宅です。外形は通り芯で19,200×13,600mm、縮尺は1/100。
図面は全10ページあり、案内図、配置図、各階の平面図、屋根伏図、立面図4面がそろっていました。そろってはいるのですが、紙の図面を後からスキャンしたもので、ページによっては斜めに歪んでいる状態です。
家具が描かれていないこともあり、図面だけだと「住戸の広さ」がなかなか伝わりにくい印象でした。
課題(図面だけでは伝わりにくいこと)
平面図は、慣れた方が見れば部屋の広さも動線も読み取れます。一方で、オーナー様や入居希望の方に見せる場面では、
- 6畳の和室と7.4㎡の洋室がどれくらいの広さか、感覚でつかみにくい
- 4階だけ住戸の形が違う、といった建物全体の構成が平面図からは見えにくい
- 立面図と平面図を頭の中で重ねないと、外観が想像できない
といったことが起きがちです。
もう1つは、元の図面の状態でした。寸法の文字が薄く、ページ自体も歪んでいるので、そのまま読むと壁の位置がずれてしまいます。
打ち手(図面から3Dにするまでの流れ)
制作は、プログラムを書くことが得意なAIに図面を読ませ、3Dのプログラムを書かせる形で進めました。手順は大きく4つです。
- スキャンの歪み補正・・通り芯(建物の基準線)を手がかりに、ページの回転と歪みを補正
- 図面の読み取り・データ化・・壁・建具・設備の位置と寸法を拾い、階ごとのデータにする
- 3Dビューアの生成・・データから建物を組み立て、操作パネルや部屋の一覧を付ける
- 撮影での検証と録画・・自動で画面を撮影して崩れを確認し、紹介動画を録画

すんなり進んだわけではありません。図面から読み取りきれない部分は、仮定を置いて進めています。
- 階高は図面から読み取れず、立面図からの目測で2,700mm
- 4階北側の勾配屋根は、陸屋根(平らな屋根)に簡略化
- 3階は「2〜3階平面図」の1枚しかないため、2階と同じ間取りで作成
- 家具は図面に無いため、一般的な配置を「参考配置」として置いた
家具をクリックすると「図面に記載がないため参考として配置しています」と表示されるようにして、図面にあるものと仮定で置いたものを見分けられるようにしました。

ちょうど、間取り図の上に家具の型紙を置いて広さを確かめる作業を、建物まるごと立体でやっているような感覚です。
成果(できあがったもの)
- 対象・・1〜4階、全12戸と駐車場
- 部屋数・・106室
- 家具・設備・・145点
- 住戸の床面積(内法)・・382.4㎡
- 3Dの部材・・500点、組み立て34工程
- 紹介動画・・約50秒

カラー表示のほかに、色を抜いた白模型の表示も用意しました。外観のボリュームや窓の並びを確認したいときは、こちらのほうが見やすいかと。

正直にお伝えすると、寸法の精度は元の図面の状態に左右されます。今回は紙図面のスキャンだったため、線のデータを持つCADのPDFから作る場合と比べると、精度は落ちると感じています。
同じ図面で始める方へのヒント
お手元に平面図がある場合は、次の順で始めるのがおすすめです。
- CADのPDFがあれば、まずそれを。線のデータから寸法を直接拾えるので、読み取りの手間がかなり小さくなります。今回は歪んだスキャンを補正してから寸法を拾ったのですが、補正と読み取りで作業時間の3分の1ほどを使っていたこともあり、図面の状態の差がそのまま作業時間に出ると実感しました
- 紙図面しかない場合は、できるだけ鮮明にスキャンを。ページがまっすぐなだけでも補正の手間が減ります
- 建物全体が大きい場合は、まず1住戸だけ家具付きで作るのが早く、仕上がりも良い印象です
- 家具や仕上げの希望があれば、商品名や写真を添えていただくと参考配置ではなく実物に近づけられます
平面図からの3D化のご相談
築年数の古い建物ほど、紙の図面しか残っていないことは多いかと思います。図面はあるのに、見せる相手に伝わりにくい、という悩みも同じように起きやすいのではないでしょうか。
弊社では、お手持ちの平面図・間取り図から、3Dビューアと紹介動画の制作をお受けしています。図面の状態を拝見したうえで、作れる範囲と所要時間をお伝えいたします。
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