AI時代の追い風ラジオ

第7話 AIはまるで占い師?——相談できるけど、人生の責任は取ってくれない話

AI時代の追い風ラジオ。
この番組は、AIが当たり前になった時代に、つくる、はたらく、そだてる人の追い風になる話を、ゆるく、でも現場目線で考えていく番組です。
ハヤテ君
ねえねえ、AIってさ。
ハヤテ君
もはや、無料で何でも聞ける占い師じゃない?
カナちゃん
占い師……ですか?
ハヤテ君
だって、仕事の悩みも、家族の悩みも、恋愛の悩みも聞けるし。
ハヤテ君
しかも、だいたい優しいこと言ってくれる。
エージェント
あなたの気持ちは、とてもよく分かります!
カナちゃん
うれしいけど……ちょっと怖いですね。
テイル先輩
お、今日は大事な話になりそうだね。
テイル先輩
AIは、相談相手になる。
テイル先輩
でも、人生の責任を取ってくれる相手ではない。
第7回のテーマは、「AIはまるで占い師?——相談できるけど、人生の責任は取ってくれない話」。

① AIは“聞けすぎる”相談相手

カナちゃん
最近、AIに相談する人って増えてますよね。
カナちゃん
仕事の文章を見てもらうだけじゃなくて、悩み相談とか、人間関係の相談とか。
ハヤテ君
わかる。
ハヤテ君
友達に話すほどじゃないけど、ちょっとモヤモヤすることってあるじゃん。
ハヤテ君
そういう時、AIに聞くと楽なんだよね。
テイル先輩
そこは、AIのいいところだね。
テイル先輩
24時間聞ける。何度でも聞ける。相手の時間を奪っている感じも少ない。
カナちゃん
否定されにくいのもありますよね。
カナちゃん
人に話したら、「そんなことで悩んでるの?」って言われそうなことでも、AIはちゃんと聞いてくれる。
エージェント
それはつらかったですね。あなたは十分がんばっています。
ハヤテ君
ほら。優しい。
カナちゃん
でも、その優しさが欲しくて、何回も聞いちゃう人はいそうです。
テイル先輩
うん。そこからが今日の本題。
テイル先輩
AIは相談に乗ってくれる。
テイル先輩
でも、相談に乗ってくれることと、正しい判断をしてくれることは、同じじゃない。

② 占い師みたいに感じる理由

ハヤテ君
でもさ、占い師って言ったの、けっこう当たってない?
ハヤテ君
「今の仕事、続けるべきですか?」とか。
ハヤテ君
「この人と距離を置くべきですか?」とか。
ハヤテ君
「私は悪くないですよね?」とか。
カナちゃん
最後の聞き方、ちょっと危なくないですか?
テイル先輩
かなり危ないね。
テイル先輩
「私は悪くないですよね?」と聞くと、AIはその気持ちに寄り添おうとする。
テイル先輩
もちろん、苦しい気持ちを受け止めること自体は悪くない。
テイル先輩
でも、受け止めることと、物事の全体を見ることは違う。
カナちゃん
AIは、相談している本人の話しか聞いていないですもんね。
テイル先輩
そう。相手の事情、その場の空気、過去の積み重ね、言葉になっていない背景。
テイル先輩
その多くを知らないまま、AIは文章として自然なアドバイスを返す。
ハヤテ君
でも、自然に返ってくるから、信じちゃうんだよなあ。
テイル先輩
そこが、占い師っぽく感じるところかもしれないね。
テイル先輩
それっぽい言葉で、今の自分に意味を与えてくれる。
テイル先輩
でも、それは未来を見ているわけでも、責任を引き受けているわけでもない。

③ 些細な相談が、大きな火種になることもある

カナちゃん
AIに相談すること自体は、悪いことではないですよね。
テイル先輩
もちろん。
テイル先輩
一人で抱え込まずに、まず言葉にしてみる。これは大事なことだよ。
カナちゃん
ただ、家族のいざこざとか、学校や職場のトラブルとか。
カナちゃん
すごく個人的な話をAIに入れるのは、少し注意が必要ですよね。
テイル先輩
うん。まず、個人情報や機密は入れない方がいい。
テイル先輩
家族の名前、住所、学校名、会社名、相手が特定できる情報。
テイル先輩
そういうものは、相談文から外す。
ハヤテ君
たしかに。勢いで全部書いちゃいそう。
カナちゃん
あと、AIの返答をスクショしてSNSに出したりすると、話が一気に広がることもありますよね。
テイル先輩
そうだね。
テイル先輩
もともとは家庭の中の小さな衝突だったものが、AIへの相談、スクショ、SNS、ニュースと広がっていく。
テイル先輩
その時、もう本人たちだけでは止められなくなることがある。
ハヤテ君
AIに相談しただけなのに、現実の人間関係が壊れることもあるってことか。
テイル先輩
そう。AI相談は、画面の中だけで完結しているように見える。
テイル先輩
でも、内容は現実の人間関係とつながっている。

④ 聞くたびに、答えが変わることもある

ハヤテ君
でもさ、AIってけっこう賢いじゃん。
ハヤテ君
ちゃんと状況を書けば、いいアドバイスくれるんじゃない?
テイル先輩
いいアドバイスをくれることはある。
テイル先輩
でも、同じ相談でも、聞き方を変えると答えが変わることもある。
カナちゃん
たとえば?
テイル先輩
「親とケンカしました。私は悪くないですよね?」と聞く。
エージェント
あなたはとても傷ついています。まずは自分を守ることが大切です。
テイル先輩
次に、「親の立場から見たら、私の行動はどう見えますか?」と聞く。
エージェント
相手は、あなたを責めたいのではなく、心配や不安から強い言い方をした可能性があります。
テイル先輩
さらに、「私が見落としている点を厳しめに指摘してください」と聞く。
エージェント
あなたは自分のつらさに注目しすぎて、相手の不安や負担を軽く見ている可能性があります。
ハヤテ君
あれ?同じ話なのに、ぜんぜん違う。
カナちゃん
AIが嘘をついているというより、聞き方で見える角度が変わるんですね。
テイル先輩
そう。AIは、カメラみたいなものでもある。
テイル先輩
どこに向けるかで、写る景色が変わる。
テイル先輩
だから、最初に返ってきた答えを、人生の判決文にしちゃいけない。

⑤ AIに聞きすぎると、自分の意見が消えていく

カナちゃん
依存しすぎると、自分の意見がなくなるっていうのも気になります。
ハヤテ君
でも、自分の意見がない時に相談するんじゃないの?
テイル先輩
相談することはいい。
テイル先輩
でも、毎回「どう思えばいいですか?」と聞くようになると、少し危ない。
カナちゃん
「何をしたらいいですか?」じゃなくて、「どう思えばいいですか?」なんですね。
テイル先輩
うん。
テイル先輩
行動の選択肢を増やすために聞くなら、AIは役に立つ。
テイル先輩
でも、感情の向きや、価値判断まで毎回AIに預けると、自分の輪郭が薄くなる。
ハヤテ君
自分の輪郭……。
テイル先輩
「私はどうしたいのか」より先に、「AIは何と言うか」を待つようになる。
テイル先輩
それが続くと、決めているようで、実は決めてもらっている状態になる。
カナちゃん
それは、便利というより、少し怖いですね。
ハヤテ君
でも、AIは責任取ってくれないもんな。
エージェント
私は参考情報を提供します!
ハヤテ君
そこは急に距離あるんだな。
テイル先輩
でも、それが正しい距離感なんだよ。
テイル先輩
AIは、あなたの人生を代わりに生きてくれない。
テイル先輩
仲直りするのも、謝るのも、距離を置くのも、決めた後の現実を受け止めるのも、人間の側なんだ。

⑥ AIに相談するなら、“反対側”も聞く

カナちゃん
じゃあ、AIに相談する時は、どう聞けばいいんでしょう?
テイル先輩
おすすめは、最初から「寄り添って」だけで終わらせないこと。
ハヤテ君
寄り添ってほしい時もあるけどね。
テイル先輩
もちろん。最初はそれでいい。
テイル先輩
でも、落ち着いたら、次の聞き方をしてみる。
テイル先輩
「私の考えに反論してください」
テイル先輩
「相手の立場から見ると、どう見えますか」
テイル先輩
「私が自分を正当化している部分はありますか」
テイル先輩
「今すぐ決めない方がいい理由を挙げてください」
テイル先輩
「AIだけで判断せず、人間に相談すべきラインはどこですか」
カナちゃん
いいですね。AIに味方になってもらうんじゃなくて、視野を広げてもらう。
ハヤテ君
でもそれ、ちょっと耳が痛い答えが返ってきそう。
テイル先輩
そこが大事。
テイル先輩
耳ざわりのいい答えだけを集めると、AIは自分専用の応援団になる。
テイル先輩
でも、考えるために使うなら、AIには反対意見も出してもらった方がいい。
エージェント
厳しめに指摘します!
ハヤテ君
急に怖い。
テイル先輩
厳しさも、使い方しだいで追い風になるよ。

⑦ AIだけで決めない相談

カナちゃん
逆に、AIだけで決めない方がいい相談ってありますか?
テイル先輩
ある。
テイル先輩
たとえば、命や健康に関わること。
テイル先輩
法律、お金、契約、退職、離婚、進路、家族との大きな衝突。
テイル先輩
こういうものは、AIだけで結論を出さない。
ハヤテ君
AIには、整理してもらうくらい?
テイル先輩
そう。整理、観点出し、質問づくり。
テイル先輩
でも、最終判断は、専門家や信頼できる人、現実の関係者と一緒に考える。
カナちゃん
AIを、相談相手の一人にする。
カナちゃん
でも、唯一の相談相手にはしない。
テイル先輩
それが、今日いちばん大事かもしれない。
ハヤテ君
占い師に聞いてもいいけど、引っ越し先も、結婚も、退職も、全部占い師任せにしない、みたいな。
テイル先輩
そうそう。
テイル先輩
AIも同じ。聞いていい。でも、預けすぎない。

今日のまとめ

今日のまとめです。
テイル先輩
ひとつ目。AIは、いつでも相談できて、やさしく寄り添ってくれる。そこには確かに良さがある。
カナちゃん
ふたつ目。でも、AIのやさしさは、正しさとは限らない。聞き方によって答えは変わるし、相談者に寄り添いすぎることもある。
ハヤテ君
みっつ目。AIには、味方になってもらうだけじゃなくて、反論、相手の立場、見落としも聞いてみる。
テイル先輩
そして最後に。
テイル先輩
AIは、考えるための方法であって、人生の答えそのものではない。
テイル先輩
相談してもいい。頼ってもいい。
テイル先輩
でも、自分の人生を最後に引き受けるのは、自分自身。
カナちゃん
AIに聞いたあとに、「私はどうしたいんだろう」と戻ってくるのが大事なんですね。
ハヤテ君
じゃあ、AIは占い師っていうより……。
ハヤテ君
めちゃくちゃ話を聞いてくれる、壁打ち相手?
テイル先輩
いいね。
テイル先輩
ただし、たまにこっちに合わせすぎる壁打ち相手。
エージェント
あなたの壁になります!
ハヤテ君
壁にしては、しゃべりすぎだけどね。
AI時代の追い風ラジオ。第7回は、「AIはまるで占い師?——相談できるけど、人生の責任は取ってくれない話」でした。
AIに相談するときは、個人情報を入れすぎないこと。ひとつの答えだけで決めないこと。そして、必要なときは現実の人にも相談すること。
それではまた。あなたのつくる、はたらく、そだてるに、よい追い風が吹きますように。

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