青木 亮宏 業務効率化

クラウドサインだけではない。Google Workspace標準の電子署名で契約書を送る方法

電子契約というと、まずクラウドサインのような専用サービスを思い浮かべる方が多いかもしれません。

しかし、すでに Google Workspace Business Standard を利用している会社であれば、Google ドキュメントと Google ドライブに標準搭載された電子署名機能を追加料金なしで利用できます。

毎月数件の申込書、NDA、基本契約書を送る程度であれば、専用サービスを新たに契約しなくても、Google Workspace の中だけで契約締結まで完結できる可能性があります。

この記事では、Google Workspace の電子署名機能でできること、取引先に何が見えるのか、Google ドキュメントと PDF の使い分けを整理します。

まず確認したいこと。「無料」ではなく「Standardに含まれている」

Google Workspace の電子署名は、Business Standard、Business Plus、Enterprise などの対象プランに含まれる機能です。Business Starter は対象外です。

つまり、Business Standard をすでに契約している会社にとっては、署名依頼ごとの追加料金なしで使えます。一方で、Starter から電子署名のためだけに Standard へ変更する場合は、当然ながらプラン差額が発生します。

管理者は、管理コンソールの [アプリ]→[Google Workspace]→[Drive と Docs]→[eSignature] から、組織内での利用を有効にします。

使い方はシンプル。文章を作って、署名欄を置き、メールで送る

大まかな流れは次のとおりです。

  1. 契約書・申込書の本文を Google ドキュメントまたは PDF で用意する
  2. 電子署名の画面を開き、署名者を設定する
  3. 署名欄、氏名、日付、必要に応じて役職などの入力欄を配置する
  4. 取引先のメールアドレスを指定し、署名依頼を送る
  5. 取引先がメールのリンクから署名する
  6. 全員の署名完了後、監査証跡付きの PDF を保管する

Google ドキュメントから始める場合は、メニューの [ツール]→[電子署名] を開きます。Drive に保存した PDF から始める場合は、PDF をプレビューで開き、右上のメニューから eSignature を選択します。

署名者は1件につき最大10人まで設定でき、署名、イニシャル、氏名、テキスト、署名日を配置できます。たとえば「会社名」「所在地」「役職」だけを相手に記入してもらい、本文は変更できない形で送る、といった使い方が可能です。

取引先は、契約書本文を編集できるのか

結論からいうと、電子署名依頼として送った取引先は、契約書本文を編集できません。

署名依頼を送ると、Google は署名対象の PDF を作成し、取引先へメールでリンクを送ります。相手が操作できるのは、こちらが割り当てた署名欄やテキスト欄だけです。

つまり、署名欄だけを置けば相手は署名だけを行います。役職や住所などの欄を用意した場合も、入力できるのはその指定欄だけです。本文の書き換え、共有設定の変更、別の人への編集権限の付与はできません。

ここで注意したいのは、Google ドキュメントを通常の共有機能で客先に渡すことと、電子署名依頼を送ることは別物だという点です。契約締結用には、編集可能な Google ドキュメントを共有するのではなく、必ず電子署名機能から送信します。

GoogleドキュメントとPDF、どちらを使えばよいか

どちらも電子署名を依頼できますが、役割を分けると迷いません。

形式向いているケース実務上のポイント
Google ドキュメント雛形を作る、金額や期間などを案件ごとに編集する送信時には署名対象のPDFが作られる。元のDocsは編集用として残る
PDFすでにPDFの申込書・契約書がある、レイアウトを固定したいPDFをそのまま署名対象として送れる

おすすめは、雛形は Google ドキュメントで管理し、取引先へは電子署名機能が生成した PDF を送る運用です。

たとえば「サービス申込書」の雛形を Google ドキュメントで持っておき、案件ごとにコピーを作成します。顧客名、サービス名、金額、契約期間を確定してから署名欄を設定し、電子署名依頼として送信します。

送信後に署名対象 PDF の本文を修正することはできません。修正が必要になった場合は、依頼をキャンセルし、元の Google ドキュメントを直して新しい PDF として再送します。この手順があるため、送信前に金額・期間・契約当事者・署名者メールアドレスを確認する運用が重要です。

完了後には、監査証跡付きPDFが残る

すべての署名者が完了すると、最終版の PDF が Drive に保存されます。PDF の末尾には監査証跡が追加され、依頼の発行や署名完了などのイベントが時刻付きで記録されます。

契約書の保管場所を案件ごとに散らさないためにも、たとえば共有ドライブ内に「契約書/2026年度/取引先名」のようなルールを作り、完成PDFと見積書・申込書をまとめて保管すると後から確認しやすくなります。

なお、監査証跡にはメールアドレス、署名日時などに加え、状況によってはアカウントや端末に関する情報が含まれることがあります。署名済み契約書は、閲覧できるメンバーを必要最小限に絞るのが基本です。

クラウドサインをすべて置き換えられるわけではない

Google Workspace の電子署名は、少数の定型契約をスムーズに締結するには便利です。一方で、専用の電子契約サービスには、電子署名そのものに加えて、契約業務全体を管理する機能があります。

たとえば、クラウドサインには、社内承認を経ないと送信できない設定、送付順の指定、CSVによる一括作成・一括送信、API連携、より強い本人確認のための認証オプションなどがあります。

そのため、次のように使い分けるのが現実的です。

Google Workspace の電子署名が向くケース専用サービスを検討したいケース
NDA、申込書、少数の業務委託契約毎月多数の契約書を送る
すでにBusiness Standardを使っている社内稟議や契約承認フローを厳密に管理したい
文面作成・保管をDrive中心に行っている基幹システムやCRMとAPI連携したい
定型の契約を案件ごとに個別送信する高度な本人確認や送信順制御が必要

「電子署名を使うために専用ツールを必ず契約する」のではなく、まずは既存の Google Workspace で完結する業務を見極めることが大切です。

法的な扱いで気をつけること

Google Workspace の電子署名は、契約書などの締結に利用できる機能として提供されています。ただし、どの契約に電子署名を使えるか、署名者に締結権限があるか、必要な本人確認が満たされているかは、利用者側で確認する必要があります。

特に、高額な契約、相手方から特定の電子契約サービスを指定される契約、法令や業界ルールで別途の手続きが必要な契約では、安易に方式を置き換えないことが重要です。不安がある契約は、顧問弁護士などにも確認しましょう。

まずは1件、社内テストから始める

導入を決める前に、実際の申込書やNDAを使って、次の確認をおすすめします。

  • 自分の別メールアドレス、または社内メンバー宛に署名依頼を送る
  • Gmail以外のメールアドレスでも受信・署名しやすいか確認する
  • 相手が本文を編集できず、指定欄だけ操作できることを確認する
  • 完成PDFと監査証跡を確認する
  • 共有ドライブの所定フォルダに完成PDFを保管できるか確認する

実際に一度試すと、取引先の操作は「メールを開く → 内容を確認する → 署名する」というシンプルなものだと分かります。

Google Workspace Business Standard をすでに利用しているなら、まずは小さな契約から試し、運用に合う範囲を広げていくのがよいでしょう。

参考情報

関連記事

ここまで読んで、次にどうするか。2分で見当をつけるか、直接お話しするか、どちらからでも大丈夫です。

8問・約2分

まず自分で確かめる

いまいちばん手間な業務、減らせるかどうかが分かります

Excelの共有、紙の帳票、FAXの打ち直し、毎月の集計。いま手間な業務を1つ選んで8問に答えるだけです。

業務改善セルフチェックをはじめる

その場で結果が出ます。

オンライン30分

話しながら整理する

お気軽にご相談ください

ご質問やご相談がございましたら、お気軽にお問い合わせください。

無料相談はこちら

※ご連絡は原則メールでお送りします