生成AI導入支援

生成AIを会社に導入したのに使われない? ~ 属人化させず社内に定着させるために必要なこと

ChatGPTやClaude、Geminiなどの生成AIを、会社として導入されるケースが増えてきました。

「まずは社員に使ってもらおう」
「業務効率化につながりそう」
「これからはAIを使えないといけない」

そんな理由で、法人アカウントを用意したり、社内で利用を推奨したりする企業も多いと思います。

一方で、実際に導入して数か月経つと、こんな声も出てきます。

  • 一部の社員しか使っていない
  • 何に使えばいいのか分からない
  • 詳しい人に質問が集中している
  • 人によって使い方がまったく違う
  • 入力してよい情報の基準が曖昧
  • AIで作ったものを、どこまで信用していいか分からない

生成AIは、契約すればすぐに使えるツールです。

しかし、会社として使いこなせる状態を作ることは、それとは別の話です。

今回は、生成AIを社内に広げる際に起こりやすい「属人化」と、それを防ぐために必要なルールや仕組みについて考えてみます。

生成AIを導入すると、最初に「使える人」と「使わない人」に分かれる

生成AIを導入した会社で、比較的よく起こるのが利用状況のばらつきです。

例えば営業部に3人いたとします。

Aさんは、ChatGPTを使って、

  • 商談の要約
  • メール文面の作成
  • 提案書のたたき台
  • 顧客へのヒアリング項目作成

など、さまざまな用途で活用しています。

Bさんは、たまに質問する程度。

Cさんは、ほとんど使っていません。

しばらくすると、

「AIのことならAさんに聞いて」

という状態になっていきます。

Aさん自身の業務効率は上がりますし、これは悪いことではありません。

ただし問題は、Aさんが持っているノウハウが会社の中に残っていないことです。

せっかくAIを導入したにもかかわらず、

「生成AIを使えるAさん」

という、新しい属人化が生まれてしまいます。

AIは自由度が高いからこそ、会社では使い方がバラバラになりやすい

一般的な業務システムであれば、ある程度使い方が決まっています。

勤怠システムなら、

出勤ボタンを押す。
退勤ボタンを押す。
休暇申請をする。

といった形です。

ところが、生成AIには決まった使い方がありません。

メールを書いてもらってもいい。

Excel関数を考えてもらってもいい。

議事録を作ってもいい。

企画を考えてもいい。

資料を作ってもいい。

プログラムを書いてもいい。

つまり、

自由度が非常に高いツールです。

便利である反面、会社の中では、

「人によって使い方が違う」

という状況になりやすくなります。

同じ作業でも、

AさんはChatGPT。

BさんはClaude。

CさんはGemini。

さらにプロンプトも違えば、確認方法も違う。

これでは、個人としては効率化できても、会社としてノウハウを蓄積することが難しくなります。

「AIを導入する」と「AIを会社に定着させる」は違う

生成AIの導入というと、

  • アカウントを用意する
  • 利用できる状態にする
  • 研修を一度行う

ところまでで終わってしまうケースもあります。

もちろん、最初の一歩としては十分です。

ただ、実際に業務で使われ続けるためには、その後の仕組みが重要になります。

例えば、

  • どの業務でAIを使うのか
  • どのAIサービスを使うのか
  • 入力してよい情報は何か
  • AIの回答を人が確認する必要があるのはどこか
  • よい使い方をどこに共有するのか
  • 誰がルールを更新するのか

といったことを少しずつ決めていく必要があります。

生成AIは変化が非常に早いため、一度マニュアルを作って終わりではありません。

使いながら、

「このやり方は良かった」
「ここは危ない」
「この業務にも使えそう」

という情報を社内で蓄積し、更新していく必要があります。

まずは「よく使う業務」を会社の型にする

最初から全社的な巨大なAIガイドラインを作る必要はありません。

むしろ、最初は小さく始めた方が運用しやすいと思います。

例えば営業部であれば、

商談後の議事録

録音やメモをもとに、

  • 決定事項
  • 顧客の課題
  • 次回までの宿題
  • 次回アクション

を整理する。

メール作成

顧客への返信メールについて、

  • 丁寧な文章
  • 過度に営業的にしない
  • 重要事項は勝手に追加しない

などのルールを決める。

提案書作成

過去の提案書や会社のサービス内容をもとに、まずAIにたたき台を作らせる。

このように、

よく行う業務からAIの使い方を標準化する

だけでも、社内への定着度は大きく変わります。

「便利なプロンプト集」だけでは足りない

生成AI活用というと、

「おすすめプロンプト100選」

のような資料を作るケースもあります。

もちろん、プロンプト例は便利です。

ただ、それだけでは会社のナレッジとしては少し弱いと考えています。

例えば、

「このプロンプトを使う」

だけではなく、

  • どんなときに使うのか
  • 入力してはいけない情報は何か
  • 出力された結果のどこを確認するのか
  • 最終判断は誰がするのか
  • うまくいかなかった場合はどうするのか

まで決めておくと、実務で使いやすくなります。

AIに何を指示するか以上に、

AIを業務の中でどう扱うか

を決めておくことが重要です。

Claude CodeやCodexになると、さらにルール作りが重要になる

ここまではChatGPTやClaudeなど、一般的な生成AIの話でした。

開発会社や社内にエンジニアがいる企業では、さらにClaude CodeやCodexなどのAIコーディングツールを使うケースも増えています。

これらは、通常のチャット型AIよりもさらに自由度が高いツールです。

例えば、

  • プロジェクトのコードを読む
  • 複数のファイルを書き換える
  • 新しいファイルを作る
  • コマンドを実行する
  • テストを行う
  • Gitの操作を行う

といったところまで、AIに任せられるようになります。

非常に便利です。

一方で、各エンジニアが自由に使い始めると、

  • AさんとBさんでAIへの指示方法が違う
  • コーディングルールが統一されない
  • テストをする人としない人がいる
  • AIが触ってよい範囲が決まっていない
  • プロジェクトごとに設定がバラバラになる
  • AIが作ったコードを確認する基準がない

といった問題が起きやすくなります。

Claude Code自体の導入方法や基本的な使い方については、ノーコードソリューションズ様の以下の記事でも詳しく紹介されています。

Claude Code完全入門:インストールから実務活用まで、AIコーディングの新常識を徹底解説

Claude CodeやCodexは、使えること自体よりも、

会社としてどう使わせるか

が重要になっていくと思います。

AIに会社のルールを読ませる

AIコーディングツールを会社で利用するのであれば、人間向けのルールだけでなく、AIが読める形でもルールを用意しておくと運用しやすくなります。

例えば、

docs/
├── architecture.md
├── coding-standards.md
├── testing-policy.md
├── security-policy.md
├── domain-rules.md
└── definition-of-done.md

といった資料をプロジェクト内に用意します。

そして、

「このシステムでは、どういう設計を採用するのか」

「どのようなコードを書いてよいのか」

「どこまでテストをするのか」

「個人情報をどう扱うのか」

「実装完了の基準は何か」

といった内容を整理しておきます。

人間にもAIにも同じルールを参照させることで、開発者ごとのばらつきを減らすことができます。

AIが作ったものを、そのまま信用しない仕組みも必要

生成AIは非常に便利ですが、必ず正しい結果を返すわけではありません。

特にプログラム開発では、

「動いたからOK」

だけでは不十分な場合があります。

そのため、

AIが実装
↓
Lint
↓
型チェック
↓
自動テスト
↓
コードレビュー
↓
CI

のように、AI以外の仕組みでも確認することが重要です。

人間が毎回すべてを目視確認するのではなく、

自動的に確認できる部分は、自動チェックに任せる。

AIを自由に使わせるのであれば、その自由度に合わせてガードレールも用意する。

これは今後、AIを開発現場に広げるうえで非常に重要になってくると考えています。

詳しい人のノウハウを「会社の資産」に変える

社内にAI活用が得意な人がいることは、大きな強みです。

ただ、

「あの人に聞かないと分からない」

という状態のままにしておくのは少しもったいない。

例えば、その人が普段行っていることを、

個人のノウハウ
↓
マニュアル
↓
テンプレート
↓
AI向けルール
↓
自動チェック

という形に変えていきます。

そうすることで、

「AIに詳しい社員の知識」

から、

「会社として再利用できるAI活用ノウハウ」

に変えることができます。

これはAIに限った話ではありません。

これまでExcel、システム、業務改善などでも起きていた属人化が、生成AIでも同じように発生しているだけです。

最初から完璧なAIルールを作る必要はない

ここまで読むと、

「かなり準備しないとAIを導入できないのでは」

と思われるかもしれません。

ただ、最初から完璧なルールを用意する必要はありません。

100ページのAI利用規程を作ったり、大規模なAI推進組織を作ったりしなくても大丈夫です。

まずは、

  1. よく使う業務を3つほど決める
  2. その業務でのAIの使い方を決める
  3. 注意事項を整理する
  4. 社員に使ってもらう
  5. 良かった使い方を残す
  6. 定期的に更新する

くらいからでも始められます。

AIは変化が早いので、

最初から完成形を目指すよりも、

小さく始めて、使いながら会社の型を作っていく

方が現実的です。

AI導入の本当のゴールは「契約すること」ではない

ChatGPTやClaudeを会社で契約する。

Claude CodeやCodexをエンジニアに使ってもらう。

これ自体は、それほど難しいことではなくなりました。

しかし、本当に重要なのはその後です。

  • 社員が日常的に使える
  • よい使い方が社内で共有される
  • 特定の人だけに依存しない
  • セキュリティ上のルールがある
  • AIが作ったものを確認する仕組みがある
  • 新しいAIツールが登場しても対応できる

ここまでできて、初めて、

会社としてAIを使える状態

になったと言えるのではないでしょうか。

こんな状態になっていたら、一度AI活用を整理してみてもよいかもしれません

例えば、

  • ChatGPTを導入したものの、ほとんど使われていない
  • 一部の社員だけAI活用が進んでいる
  • AIに詳しい社員へ質問が集中している
  • 社内向けのAIマニュアルがない
  • AIに入力してよい情報のルールが曖昧
  • 部署ごとに使っているAIサービスが違う
  • Claude CodeやCodexを導入したが、開発者ごとに使い方が違う
  • AI生成コードの品質管理方法が決まっていない
  • AIを業務に広げたいが、何から整理すればよいか分からない

という状況であれば、

一度、

「どのAIを導入するか」ではなく、「会社としてAIをどう使うか」

を整理してみるのがおすすめです。

AIを「使える状態」まで一緒に作る

生成AIの社内導入では、ツール選定だけでなく、

  • 業務整理
  • AI活用方法の設計
  • 社内ルール作成
  • マニュアル作成
  • プロンプト・テンプレート整備
  • セキュリティ方針
  • Claude Code / Codexなどの開発環境整備
  • AI利用時のチェック体制

など、意外と準備することがあります。

社内だけですべてを整理しようとすると、

「AIに詳しい人がそのまま全部担当する」

ことになり、ここでも属人化が起きてしまうことがあります。

テイルウインドでは、単に生成AIツールを導入するだけではなく、

その会社の業務に合わせて、社員が実際に使える状態を作るところまで

AI導入・定着の支援を行っています。

「ChatGPTを入れたけれど、そこから先に進んでいない」

「Claude CodeやCodexを会社として使っていきたい」

「社内のAIルールやマニュアル作りから相談したい」

といった段階でも問題ありません。

生成AIを導入することそのものではなく、

AIが会社の中で普通に使われる状態をどう作るか。

そこから一緒に考えていければと思っています。

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