AI時代の追い風ラジオ

第11話 社内マニュアルをAIに聞けるようにする前に、まず情報を整えよう

OP
AI時代の追い風ラジオ。
この番組は、AIが当たり前になった時代に、つくる、はたらく、そだてる人の追い風になる話を、ゆるく、でも現場目線で考えていく番組です。
社長
うちの社内マニュアル、AIに全部読ませたいんですよ。
社長
そうしたら社員が何でもAIに聞けるじゃないですか。
ハヤテ君
いいっすね!AI田中さん、爆誕っしょ!
エージェント
社内のこと、何でも答えます!
田中さん
あの……。
田中さん
そのマニュアル、たぶん、古いものも混ざっています。
カナちゃん
……えっ。
カナちゃん
古いマニュアルを読んだAIが、古いルールで答えちゃうこともあるんですか?
テイル先輩
あるね。
テイル先輩
今日は、社内マニュアルをAIに聞けるようにする前に、まず情報をどう整えるかを考えてみようか。
導入
第11回のテーマは、「社内マニュアルをAIに聞けるようにする前に、まず情報を整えよう」。
問い合わせ管理、Excel管理、業務整理の次に出てきやすいのが、社内資料やマニュアルをAIで検索したい、という相談です。
でも、AIに資料を入れるだけで、社内の知恵が自動的に整理されるわけではありません。
現場あるある
社長
社員から同じ質問が何度も来るんですよ。
社長
休暇申請のやり方とか、経費精算とか、見積書の作り方とか。
社長
そういうのをAIに聞けるようにしたら、だいぶ楽になると思うんです。
担当者さん
たしかに、質問対応は減らしたいです。
担当者さん
ただ、資料がいろんな場所にあって……。
担当者さん
共有フォルダ、チャットのピン留め、個人のデスクトップ、前任者のフォルダ。
田中さん
あと、最新版がどれか分からないものもあります。
田中さん
「マニュアル_最新版」と「マニュアル_最新版_修正版」と「マニュアル_最終_本当の最終」がありまして。
ハヤテ君
あー、それは最終じゃないやつだ。
カナちゃん
でも、そういう資料を全部AIに入れたら、AIが整理してくれるんじゃないですか?
エージェント
整理します!完璧です!
テイル先輩
うん。整理を手伝うことはできる。
テイル先輩
でも、「どれが正しい情報か」は、AIだけでは決められないんだよね。
問題の本質
ハヤテ君
え、AIって賢いんだから、古い資料と新しい資料くらい見分けられるんじゃないの?
テイル先輩
じゃあ、こんな場面を考えてみようか。
テイル先輩
ある資料には、「経費精算は紙で提出」と書いてある。
テイル先輩
別の資料には、「経費精算はシステムで申請」と書いてある。
テイル先輩
さらにチャットには、「今月だけメールで送ってください」と書いてある。
テイル先輩
さて、AIはどれを正解にすればいい?
ハヤテ君
……えーっと。
ハヤテ君
一番新しいやつ?
カナちゃん
でも、「今月だけ」ってことは、来月は違うかもしれないですよね。
テイル先輩
そう。日付だけでは決められないことがある。
テイル先輩
例外なのか、正式なルール変更なのか。部署限定なのか、全社ルールなのか。
テイル先輩
そこは、人間側が整理しておかないと、AIも判断しづらい。
担当者さん
たしかに、今も「田中さんに聞けば分かる」で回っているところがあります。
田中さん
たぶん、その処理は前に一度だけ例外がありまして。
田中さん
それが、そのままマニュアルっぽく残っているかもしれません。
ハヤテ君
なるほど……。
ハヤテ君
AI田中さんを作る前に、本物の田中さんの頭の中を整理しないといけないのか。
テイル先輩
いい言い方だね。
テイル先輩
AIに社内のことを聞けるようにするって、実は、会社の知識を棚卸しすることなんだ。
情報整理
カナちゃん
具体的には、何を整理すればいいんですか?
テイル先輩
まず、置き場。
テイル先輩
どこに正式なマニュアルを置くのか。共有フォルダなのか、社内ポータルなのか、ナレッジツールなのか。
カナちゃん
「とりあえずいろんな場所にある」は、AI以前に人間も探せないですもんね。
テイル先輩
次に、最新版。
テイル先輩
どの資料が現在有効なのか。古い資料は消すのか、アーカイブにするのか、見えない場所に移すのか。
ハヤテ君
古い資料をAIが拾ったら、昔のルールで答えちゃうもんな。
テイル先輩
そして、更新責任。
テイル先輩
誰が更新するのか。いつ見直すのか。変更したら誰に知らせるのか。
担当者さん
そこ、決まってないです。
担当者さん
気づいた人が直す、みたいになっています。
テイル先輩
気づいた人が直す、は最初は助かる。
テイル先輩
でも、会社のルールとして運用するなら、責任者がいない情報は古くなりやすい。
カナちゃん
あと、権限もありますよね。
カナちゃん
給与、評価、契約、個人情報みたいな資料は、誰でも見られたら困ります。
テイル先輩
大事。
テイル先輩
AIに聞けるようにするほど、「誰が何を見てよいか」の設計も大事になる。
エージェント
すべての資料を読み込みます!
カナちゃん
それはちょっと怖いです。
テイル先輩
そう。便利さが増えるほど、見せてはいけないものも混ざりやすくなる。
テイル先輩
社内マニュアルAIは、ただの検索機能じゃない。会社の情報管理そのものが見えてくるんだよね。
AIの使い方
ハヤテ君
じゃあ、AIの出番はまだ先?
テイル先輩
いや、整理の段階から手伝ってもらえるよ。
テイル先輩
たとえば、古いマニュアルを読ませて、内容を項目ごとに分けてもらう。
テイル先輩
「これは経費精算」「これは勤怠」「これは見積作成」みたいに分類する。
カナちゃん
でも、その分類が正しいかは人間が見るんですね。
テイル先輩
そう。AIに任せるのは下書き。決めるのは人間。
ハヤテ君
じゃあ、AIにはこう聞けばいい?
ハヤテ君
「社内マニュアルを全部読んで、古そうなもの、重複してそうなもの、ルールが矛盾してそうなものを一覧にして」って。
テイル先輩
いいね。さらにこう足すといい。
テイル先輩
「ただし、最終判断は人間が行う前提で、判断が必要な箇所には“要確認”と付けて」と。
カナちゃん
AIに正解を出させるんじゃなくて、確認すべき場所を見つけてもらうんですね。
テイル先輩
それ。
テイル先輩
社内マニュアルAIの最初の価値は、答えを自動で返すことより、情報の散らかりを見える化することかもしれない。
エージェント
散らかり、検出します!
ハヤテ君
それは頼もしい。
ハヤテ君
でも勝手に捨てないでね。
エージェント
削除も可能です!
テイル先輩
そこは人間の承認を挟もうか。
実践チェック
ここで、社内マニュアルをAIに聞けるようにする前の実践チェックです。
テイル先輩
ひとつ目。資料の置き場を決める。
テイル先輩
正式なマニュアルをどこに置くのか、まず一か所に決める。
カナちゃん
ふたつ目。最新版を決める。
カナちゃん
古い資料は消す、別フォルダへ移す、または「旧版」と分かるようにする。
ハヤテ君
みっつ目。更新する人を決める。
ハヤテ君
気づいた人が直す、だけにしない。担当者と見直しタイミングを決める。
テイル先輩
よっつ目。見せてよい範囲を決める。
テイル先輩
全社員向け、部署限定、管理者限定など、権限を分ける。
カナちゃん
いつつ目。AIに聞かせる前に、矛盾や例外を洗い出す。
カナちゃん
AIには、答えを出させる前に、重複、古い情報、矛盾、要確認箇所を見つけてもらう。
テイル先輩
この5つが整ってくると、AIに聞ける社内マニュアルはかなり現実的になる。
まとめ
今日のまとめです。
テイル先輩
AIは、社内の知識を魔法みたいに正しくしてくれる存在ではない。
カナちゃん
でも、散らかった情報を見つけたり、整理の下書きを作ったりする追い風にはなる。
ハヤテ君
AI田中さんを作る前に、まず田中さんが困らない情報の置き方を作る。
田中さん
それは……かなり助かります。
テイル先輩
社内マニュアルをAIに聞けるようにする。
テイル先輩
その第一歩は、AIを入れることじゃなくて、「どの情報を信じていいか」を会社で決めることなんだよね。
ED
AI時代の追い風ラジオ。第11回は、「社内マニュアルをAIに聞けるようにする前に、まず情報を整えよう」でした。
この回の台本と、社内マニュアルAI化の前に見るチェック項目は、概要欄のページにまとめています。
それではまた。あなたのつくる、はたらく、そだてるに、よい追い風が吹きますように。

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