AIチャットAIエージェントなど6つのレベルでわかりやすく整理
ChatGPTをはじめ、生成AIを仕事で使う機会が増えてきました。
最近では「AIエージェント」という言葉もよく聞くようになり、
- ChatGPTとAIエージェントは何が違うの?
- ClaudeはAIエージェントなの?
- AIが自分で仕事をするとはどういうこと?
- 今までの自動化とは何が違う?
と、少し分かりにくくなっています。
実は「AI」と一言でいっても、人間がどこまで指示するのか、AIがどこまで自分で考えて動くのかによって大きな違いがあります。
この記事では、AIの使われ方をLevel 0〜Level 5の6段階に分けて、できるだけわかりやすく整理してみます。
※この6段階は正式な業界標準ではなく、AIの違いを理解しやすくするために独自に整理したものです。
まずは全体像
AIに任せる範囲が少しずつ広がっていくと考えると分かりやすくなります。
| レベル | 分類 | できること |
|---|---|---|
| Level 0 | LLM | 文章や回答を生成する |
| Level 1 | チャット型AI | 人と会話する |
| Level 2 | AIアシスタント | 調査や作業を手伝う |
| Level 3 | 業務フロー | 決められた流れで処理する |
| Level 4 | AIエージェント | 次に何をするか自分で判断する |
| Level 5 | 自律型AIエージェント | 大きな目的に向かって自律的に進める |
一言で表すなら、
生成する
↓
会話する
↓
手伝う
↓
決められた仕事を進める
↓
進め方を考える
↓
より自律的に仕事を進める
という変化です。
Level 0:LLM ― AIの「頭脳」
まず一番土台になるのがLLMです。
GPT、Claude、GeminiなどのAIモデルがこれにあたります。
基本的には、
入力
↓
AI
↓
出力
という仕組みです。
例えば、
「この文章をわかりやすくしてください」
と入力すると、それに合わせた文章を生成します。
非常に高度な文章生成や推論ができますが、LLMそのものが勝手にメールを読んだり、ファイルを操作したり、社内システムを更新したりするわけではありません。
イメージとしては、
AIの頭脳部分
です。
Level 1:チャット型AI ― AIと会話する
LLMを人が使いやすい形にした代表例が、ChatGPTやClaudeなどのチャット型AIです。
例えば、
「営業メールを作って」
とお願いする。
AIが文章を作る。
さらに、
「もう少し柔らかくして」
と追加でお願いする。
すると、前の会話を踏まえて書き直してくれます。
人
↓
質問
↓
AI
↓
回答
↓
追加の質問
↓
AI
↓
回答
この段階でできることはかなり多く、
- 文章作成
- 要約
- 翻訳
- アイデア出し
- メール作成
- 壁打ち
- 説明
- 資料のたたき台
など、日常業務でも十分活用できます。
生成AIを初めて仕事で使うのであれば、まずはここからで問題ありません。
Level 2:AIアシスタント ― 回答だけでなく仕事を手伝う
次の段階になると、AIが文章を作るだけでなく、外部の情報や道具を使えるようになります。
例えば、
「最近の業界動向を調べて、分かりやすくまとめて」
とお願いしたとします。
AIが、
依頼を受ける
↓
インターネットで調べる
↓
情報を読む
↓
整理する
↓
結果をまとめる
ところまで行います。
ほかにも、
- PDFを読む
- Excelを分析する
- ファイルを探す
- 計算する
- Webを調査する
- 資料を作る
などができるようになります。
ここまでくると、
質問に答えるAI
から、
仕事を手伝ってくれるAI
へ変わってきます。
現在のChatGPTやClaudeも、使い方によってはこのレベルまで対応できます。
Level 3:業務フロー ― 決められた仕事を順番に進める
ここからは、AI単体というより業務全体の仕組みに近づいてきます。
例えば、問い合わせ対応を考えてみます。
問い合わせが届く
↓
内容を分類する
↓
社内FAQを検索する
↓
回答案を作る
↓
担当者が確認する
↓
返信する
このように複数の処理をつなげます。
紙の注文書であれば、
注文書を読み取る
↓
商品名と数量を取り出す
↓
商品マスターと照合
↓
担当者が確認
↓
販売管理システムへ登録
という流れも考えられます。
ここではAIだけではなく、
- OCR
- データベース
- 自動化ツール
- API連携
- RPA
などを組み合わせることもあります。
ポイントは「進め方が決まっている」こと
Level 3では、
Aをする
↓
次にB
↓
次にC
↓
最後にD
という流れを、基本的には人間があらかじめ設計します。
AIが含まれていても、仕事の進め方そのものは決まっています。
Level 4:AIエージェント ― AIが次の行動を考える
Level 3とLevel 4の間には、大きな違いがあります。
AIエージェントでは、
目的を達成するために、次に何をするべきかをAI自身が判断します。
例えば、AIに、
「このシステムの不具合を調べて直して」
と依頼したとします。
AIエージェントなら、
関連するファイルを探す
↓
内容を確認する
↓
原因を考える
↓
修正する
↓
テストする
↓
エラーが出る
↓
原因をもう一度調べる
↓
別の方法で修正する
↓
もう一度テストする
というように、途中の結果を見ながら行動を変えていきます。
Claude CodeやCodexなどの開発向けAIは、このイメージを理解しやすい例です。
業務フローとAIエージェントは何が違う?
ここが一番重要です。
Level 3:業務フロー
人間が進め方を決める
A
↓
B
↓
C
↓
D
Level 4:AIエージェント
AIが進め方を判断する
目的
↓
AIが考える
↓
Aを試す
↓
結果を見る
↓
次はCがよさそう
↓
Cを試す
↓
うまくいかない
↓
今度はBを試す
つまり、
「何を答えるか」だけではなく、「どう仕事を進めるか」までAIに任せる
のがAIエージェントです。
「エージェンティック」という言葉は何?
最近は「エージェンティックAI」という言葉もよく使われます。
少し難しく聞こえますが、考え方はシンプルです。
AIが、考える → 行動する → 結果を見る → また考える、を繰り返すこと
です。
考える
↓
行動する
↓
結果を見る
↓
もう一度考える
↓
次の行動
この繰り返しが、AIエージェントらしさの一つです。
AIエージェントという「もの」に対して、
エージェンティック = AIが自分で考えながら進める性質
くらいに理解すると分かりやすいでしょう。
Level 5:自律型AIエージェント ― 大きな目的を任せる
さらに進むと、人間が細かい作業を指示するのではなく、もっと大きな目的を渡すようになります。
例えば、
「新しいサービスを検討しているので、市場や競合を調べて企画案をまとめて」
という依頼です。
するとAIが、
何を調べるか考える
↓
市場を調べる
↓
競合を調べる
↓
情報を整理する
↓
足りない情報に気づく
↓
追加で調べる
↓
分析する
↓
企画案を作る
↓
内容を見直す
↓
完成
というように、より長い仕事を進めます。
将来的には、
- 複数のシステム
- 社内データ
- Web
- メール
- ファイル
- 他のAI
などを使いながら、大きな仕事を進める形も増えていくと考えられます。
Level 4とLevel 5の境界ははっきりしていない
実際には、
ここからがLevel 5
という厳密な線があるわけではありません。
この記事では分かりやすく、
Level 4
一つの仕事を渡し、その中でAIが進め方を判断する
Level 5
より大きな目的を渡し、人間の介入を減らしながら複数の仕事を進める
と整理しています。
違いは、
どこまで自律性を持たせるか
です。
AIはレベルが高いほど良いわけではない
ここはとても大切です。
例えば、
「毎月決まったExcelを集計して、担当者に送る」
という仕事なら、Level 3の決められた業務フローで十分です。
毎回AIに、
「今日は何をしたらいいかな?」
と考えさせる必要はありません。
一方、
「問い合わせ内容によって調べる資料も対応方法も毎回違う」
のであれば、AIエージェントが向いている可能性があります。
つまり、
高度なAIを使えばよいのではなく、その仕事に必要なレベルを選ぶ
ことが大切です。
レベルが上がると、管理も重要になる
AIにできることが増えると、その分だけ注意も必要です。
例えば、
AIがメール文章を作る
AI
↓
文章を作る
↓
人間が確認して送信
と、
AIがメールまで自動送信する
AI
↓
文章を作る
↓
自動送信
では、AIに与えている権限が違います。
AIエージェントになると、
- どの資料を見てよいか
- どのシステムを操作してよいか
- メールを送ってよいか
- データを書き換えてよいか
- どこで人間が確認するか
といったルールも重要になります。
便利になるほど、AIに任せる範囲を考える必要があります。
自社ではどのレベルが必要?
例えば、こんな考え方ができます。
メールや文章を作りたい
→ Level 1〜2
調査や資料作成を手伝ってほしい
→ Level 2
毎回同じ手順の業務を自動化したい
→ Level 3
状況によって進め方を変えてほしい
→ Level 4
大きな目的を渡して、ある程度まとめて仕事を任せたい
→ Level 5
すべての企業がLevel 5を目指す必要はありません。
むしろ、
今の業務では、どのレベルまでAIに任せれば十分なのか
を考えることが重要です。
まとめ:AIは「どこまで任せるか」で考える
AIを6段階に整理すると、次のようになります。
Level 0
LLM
「生成する」
↓
Level 1
チャット型AI
「会話する」
↓
Level 2
AIアシスタント
「手伝う」
↓
Level 3
業務フロー
「決められた仕事を進める」
↓
Level 4
AIエージェント
「進め方を判断する」
↓
Level 5
自律型AIエージェント
「より自律的に仕事を進める」
AIエージェントという言葉だけを見ると難しく感じますが、
回答してくれるAIから、仕事を手伝うAIへ。
さらに、仕事の進め方まで考えてくれるAIへ。
と考えると、かなり分かりやすくなります。
そして重要なのは、一番高度なAIを導入することではありません。
自社の業務を整理して、「ここまではAIに任せたい」というちょうどよい範囲を見つけること。
AIはあくまで手段です。
今の仕事が少し楽になる、ミスが減る、お客様への対応が早くなる。
そんなところから、必要なレベルのAIを少しずつ取り入れていけばよいのではないでしょうか。