業務効率化 ExcelOCR

PDFをExcelにするだけなら市販OCRで足ります。手が止まるのはその後の照合です

「PDFの内容をExcelに転記するのが大変なので、AI-OCRで自動化したい」

こうした相談はよくあります。

請求書、注文書、見積書、申込書、検査票、各種帳票。

紙やPDFに書かれている内容を、人が見ながらExcelへ入力している会社はまだ少なくありません。

そこで最初に思いつくのがOCRです。

最近はOCRの精度も上がり、生成AIを組み合わせれば、かなり柔軟に文字や数値を読み取れるようになりました。

ただし、実際の業務を見ていくと、「PDFをExcelにする」こと自体が本当の問題ではないケースがあります。

むしろ人の手が止まっているのは、

読み取った後に、その数字が正しいか確認している時間

だったりします。

OCRができれば、入力作業はかなり減らせる

OCRは、画像やPDFに書かれた文字を読み取り、データとして扱えるようにする技術です。

たとえばPDFに、

  • 取引先名
  • 商品名
  • 数量
  • 単価
  • 金額
  • 日付
  • 注文番号

などが書かれていれば、それを抽出してExcelやシステムへ渡すことができます。

帳票の形式がある程度決まっているなら、市販のOCRサービスでも十分対応できる場合があります。

そのため、

「PDFをExcelにしたい」だけなら、最初から専用システムを作る必要はありません。

まず既存サービスを試したほうが早いことも多いです。

でも、現場では読み取った後に人が確認している

問題はここからです。

OCRで文字を読み取れても、担当者がそのまま確定できるとは限りません。

たとえば、

「数量は10で合っているか」

「単価は前回と同じか」

「注文書と請求書の金額は一致しているか」

「商品コードは社内の商品マスタに存在するか」

「合計金額と明細の合計が一致しているか」

といった確認が残ります。

つまり、

PDFを見る

Excelへ入力する

元のPDFと見比べる

別の資料とも照合する

間違いがなければ確定する

という流れです。

OCRで消えるのは、この中の入力部分だけです。

確認や照合に時間を使っている会社では、OCRを入れても思ったほど業務時間が減らないことがあります。

本当に時間がかかるのは「読み取り」ではなく「突き合わせ」

たとえば、注文書と納品書があるとします。

注文書には、

  • 商品A:10個
  • 商品B:5個

と書かれている。

納品書には、

  • 商品A:10個
  • 商品B:4個

と書かれている。

OCRはそれぞれの数字を読み取れます。

ただし、現場で必要なのは、

「商品Bが1個足りない」

と気づくことです。

これは単純な文字認識ではありません。

2つの書類から情報を取り出し、

同じ商品を対応付け、

数量を比較し、

差分を見つける必要があります。

ここまで来ると、必要なのは単なるOCRではなく、

データ化+照合

です。

「PDF転記」と呼んでいる業務を分解してみる

PDFからExcelへの転記作業がある場合、一度、実際の仕事を分解してみると分かりやすくなります。

たとえば、

  1. PDFを開く
  2. 必要な項目を探す
  3. Excelへ入力する
  4. 入力内容を確認する
  5. 別の資料と照合する
  6. 不一致があれば原因を調べる
  7. 問題なければ確定する

という流れです。

この中でOCRが担当できるのは、主に2と3です。

一方、4〜6に時間がかかっているのであれば、そこまで含めて考えないと大きな効果は出ません。

まず確認したいのは「何と何を比べているか」

帳票処理を自動化するときに重要なのが、

人がどの資料とどの資料を見比べているか

です。

たとえば、

注文書と受注データ。

請求書と発注書。

納品書と注文書。

申込書と顧客マスタ。

検査票と基準値。

こうした組み合わせがあります。

担当者に、

「入力したあと何を確認していますか?」

と聞いてみると、本当の業務が見えてきます。

「PDFをExcelに転記しています」

という説明だけでは、この部分は見えません。

1枚の帳票ならOCR、複数書類なら照合まで考える

シンプルに考えると、次のように分けられます。

1枚のPDFから項目を取り出したい

この場合はOCRが中心です。

たとえば、

請求書から取引先名と金額だけ取りたい。

アンケート用紙から回答内容を取りたい。

申込書から氏名や住所を取りたい。

こうした業務なら、市販OCRで解決できる可能性があります。

複数の資料を比較したい

ここから少し複雑になります。

たとえば、

「請求書の金額が発注内容と一致しているか確認したい」

という業務です。

この場合は、

  • OCRで読み取る
  • 項目を揃える
  • 同じ取引を特定する
  • 数値を比較する
  • 差分を出す

ところまで必要です。

社内データとも照合したい

さらに、

商品コードを商品マスタと確認する。

取引先名を顧客マスタと照合する。

受注番号から既存システムの情報を取得する。

といった処理もあります。

この段階になると、OCR単体ではなく、既存システムとの連携まで視野に入ってきます。

OCRの精度だけを追いかけても解決しないことがある

AI-OCRを比較するとき、

「読み取り精度99%」

のような数字が目に入りやすいです。

もちろん精度は重要です。

ただし現場では、

どの間違いなら許容できて、どの間違いは絶対に見逃せないか

のほうが重要です。

たとえば住所の一文字の誤読と、

請求金額の一桁の誤読では、

業務への影響が違います。

そのため、

すべての項目を同じ扱いにするのではなく、

  • 自動確定してよい項目
  • 人が確認する項目
  • 他データと一致したら確定する項目

に分けるほうが現実的です。

AIに「全部任せる」必要はない

帳票処理の自動化というと、

PDFを入れればすべて自動で処理が終わる仕組みを想像しがちです。

しかし、最初からそこを目指す必要はありません。

たとえば、

AIが読み取る

システムが他の資料と照合する

一致したものは自動処理

不一致だけ人が確認する

という形でも、十分に効果があります。

これなら人は、

100件すべてを見るのではなく、

問題がある10件だけ確認する

という働き方に変えられます。

完全自動化よりも、

人が見る件数を減らす

という考え方です。

出典を残しておくことも重要

AIやOCRで帳票を処理するとき、もう一つ重要なのが、

その数字をどこから読み取ったのか追えること

です。

たとえばExcelに、

「数量:10」

とだけ記録されていても、間違っていた場合に元資料を探し直す必要があります。

できれば、

  • 元のPDF
  • ページ番号
  • 読み取った箇所
  • 処理日時

などを残しておくと、後から確認しやすくなります。

AIを導入すると、

「自動化できたか」

に注目しがちですが、

業務では、

間違ったときに戻れること

も同じくらい大切です。

Excelへの転記自体をなくせる場合もある

さらに一歩進めると、

「そもそもExcelへ入れる必要がありますか?」

という話になることもあります。

たとえばPDFから読み取ったデータを、

  • 会計ソフト
  • 販売管理システム
  • 顧客管理システム
  • データベース

などへ直接渡せるのであれば、Excelを途中に挟む必要がありません。

現状が、

PDF

Excelへ転記

Excelを見ながら別システムへ入力

となっている場合、

Excel転記を自動化するより、

PDFから最終システムまでつなぐほうがよい

ケースもあります。

市販サービスで十分か、開発が必要か

判断基準は比較的シンプルです。

市販OCRで済みやすいケース

  • 読み取る書類が1種類
  • 必要な項目が決まっている
  • Excelに出力できれば十分
  • その後の確認が少ない
  • 他システムとの複雑な連携がない

少し仕組み化したほうがよいケース

  • 帳票の種類が複数ある
  • 書類同士を比較したい
  • 商品マスタなどと照合したい
  • 不一致だけ人へ回したい
  • 処理履歴を残したい

個別開発を検討するケース

  • 複数の業務システムと連携する
  • 会社独自の照合ルールが多い
  • 承認まで含めて一連の流れにしたい
  • 大量の帳票を継続的に処理する

重要なのは、

OCRを導入するかどうかから考えないこと

です。

まず、人がやっている「確認」を1つ書き出してみる

PDF転記を効率化したい場合は、

担当者に次の質問をしてみてください。

「Excelへ入力したあと、何を確認していますか?」

この回答が、

「特に確認していません」

なら、OCRでかなり改善できる可能性があります。

一方、

「注文内容と比べています」

「商品マスタを確認しています」

「前月の金額と比べています」

「別のPDFを開いて確認しています」

という回答なら、

改善すべきなのは転記だけではありません。

この確認作業こそ、自動化できないか検討する価値があります。

PDFをExcelにするのは入口にすぎない

AI-OCRは非常に便利になりました。

しかし、

「文字を読める」

ことと、

「業務が終わる」

ことは別です。

本当に減らしたいのが人の作業時間なら、

読み取りだけではなく、

その後に人が何を確認しているか

まで見てみる必要があります。

PDFをExcelへ変換するだけなら、市販サービスで十分なことも多いです。

一方、

複数の書類を見比べ、

数値を確認し、

社内データと照合し、

問題があるものだけ判断している。

そこまでやっているのであれば、

自動化の対象はOCRではなく「照合業務」

なのかもしれません。


PDFや帳票の処理をどこまで自動化できるか分からない場合は

テイルウインドでは、現在の帳票や処理手順を確認しながら、

市販OCRで十分なところ、AIを使えるところ、照合まで仕組み化したほうがよいところ

を切り分けるところからご相談いただけます。

最初から専用システムを作る前提ではありません。

実際のPDFやExcelを見ながら、

「どこまで既存サービスでできるか」

「どこから個別対応が必要か」

を整理します。

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