図面や写真が探せない。ファイル名を直す前に決める3つのこと

「前に似た現場があったはずなんだけど、図面が見つからない」

「この写真、どの案件のものだったっけ?」

「共有フォルダに入っているはずなのに、誰も場所が分からない」

建設会社、工務店、設備会社などでは、図面や現場写真が増えるほど、こうした問題が起きやすくなります。

そして最初に出てくる対策が、

「ファイル名のルールを決めよう」

です。

たとえば、

20260827_熊本市_○○邸_平面図_v2.pdf

のようにルールを決めれば、確かに探しやすくなります。

ただ、実際にはそれだけで解決しない会社も少なくありません。

なぜなら、図面や写真を探せない原因は、ファイル名そのものではなく、

  • 何を手がかりに探したいのか
  • どんな情報を残しておくべきなのか
  • 誰がその情報を付けるのか

が決まっていないことにあるからです。

AIを使うにしても、システムを作るにしても、まずこの3つを整理しておく必要があります。

1. 「何を探したいのか」を先に決める

「図面を検索できるようにしたい」

という相談を受けたとき、最初に確認したいのは、

何を入力して探したいのか

です。

たとえば同じ図面でも、人によって探し方は違います。

営業担当なら、

「○○社の去年の案件」

で探したいかもしれません。

現場担当なら、

「熊本市で施工した木造2階建て」

で探したいかもしれません。

設計担当なら、

「この納まりと似た図面」

を探したいかもしれません。

経営者なら、

「過去に500万円前後だった案件」

から探したいかもしれません。

これらは全部「図面検索」ですが、必要な仕組みは違います。

そのため、最初に考えるべきなのは、

ファイルをどう整理するか

ではなく、

後から何を手がかりに探したいか

です。

ファイル名だけでは、後から必要になる情報を全部入れられない

図面や写真を整理しようとすると、ファイル名に多くの情報を入れたくなります。

たとえば、

  • 日付
  • 顧客名
  • 案件名
  • 現場名
  • 図面種別
  • 担当者
  • バージョン

などです。

しかし、増やせば増やすほど運用が大変になります。

最終的には、

2026_0827_株式会社○○_熊本市中央区○○_改修工事_設備図_山田_v03_final2.pdf

のような名前になってしまいます。

しかも、人が毎回正しく付けるとは限りません。

「株式会社」を付ける人と付けない人。

「平面図」と書く人と「PLAN」と書く人。

全角と半角。

日付の形式。

略称。

入力する人によって表記が変わります。

つまり、

ファイル名だけで情報管理をしようとすると、人間の入力精度に依存する

という問題が出てきます。

2. ファイル名ではなく「属性」を持たせる

そこで考えたいのが、ファイルそのものとは別に情報を持たせる方法です。

たとえば1枚の図面に、

  • 案件名
  • 顧客名
  • 現場
  • 図面種別
  • 建物種別
  • 工事種別
  • 作成日
  • 担当者
  • ステータス

といった情報を付けます。

こうした情報は一般に「メタデータ」や「属性」と呼ばれます。

ファイル名が、

A001.pdf

だったとしても、

「熊本市」

「店舗改修」

「電気設備」

「2026年」

という属性が付いていれば、それを条件に検索できます。

この考え方にすると、

ファイルの名前と、探すための情報を分離できます。

図面や写真が数百、数千と増えてくるほど、この違いが大きくなります。

AIが付けられる属性と、人が決める属性は違う

ここでAIを使える場面が出てきます。

図面や写真をAIに見せることで、自動的に付けられる情報があります。

たとえば写真なら、

  • 外観
  • 内観
  • 配管
  • 配線
  • 天井
  • 施工前
  • 施工後

といった内容を画像から推測できます。

図面でも、

  • 平面図
  • 立面図
  • 配置図
  • 設備図

などをある程度分類できます。

PDF内の文字を読み取って、

  • 工事名
  • 住所
  • 顧客名
  • 図面番号

などを抽出できる場合もあります。

一方、AIでは決めにくいものもあります。

たとえば、

「この案件を社内では何という案件名にするか」

「この図面は正式版なのか参考資料なのか」

「どの案件と関連付けるか」

といった情報です。

これらは会社の業務ルールによって決まります。

つまり、

AIに全部整理させるのではなく、機械で取れる情報と、人が決める情報を分ける

ことが重要です。

3. 「誰が情報を付けるのか」を決める

図面整理で意外に重要なのが、この問題です。

新しい管理ルールを決めても、

「誰が登録するんですか?」

が決まっていないと、数か月後には元に戻ります。

たとえば現場から写真が上がってきたとします。

そのとき、

現場担当者が案件を選択するのか。

事務担当者が後から整理するのか。

システムが自動判定するのか。

AIが候補を出して人が確認するのか。

ここを決めておく必要があります。

特に、

「全部入力してください」

という仕組みは続きにくいです。

現場で1枚撮影するたびに、

案件名、場所、分類、日付、担当者、説明……

と入力しなければならないなら、どれだけ優れたシステムでも使われなくなるでしょう。

だから、

人間が入力する項目をできるだけ減らす

ことが重要になります。

一番理想なのは「案件だけ選べば、あとは自動」

たとえば現場写真であれば、

担当者がスマートフォンから写真を登録するとき、

案件名だけ選ぶ。

残りは、

  • 撮影日時 → 自動
  • 撮影者 → ログイン情報から自動
  • 現場 → 案件情報から自動
  • 写真分類 → AIが候補を付ける
  • 内容 → AIが説明文を作る

という形にできます。

人が最後に確認するだけです。

これなら、

「管理ルールを覚えてください」

と全社員へお願いするよりも続きやすくなります。

重要なのは高度なAIではなく、

人間が毎回考えなくても同じ形で情報が残ること

です。

「検索できる」とは、Googleのような検索窓を付けることではない

図面検索というと、

大きな検索窓があって、

「店舗 改修 熊本」

と入力するとAIが探してくれる。

そんな仕組みを想像するかもしれません。

もちろん、それも可能です。

ただ、その前段階として必要なのが、

検索に使える情報が蓄積されていること

です。

案件名しか登録されていなければ、「設備」という検索はできません。

場所の情報がなければ、「熊本市」という検索もできません。

施工種別が記録されていなければ、「改修工事」で絞ることもできません。

AI検索を導入すれば突然すべてが整理されるわけではありません。

むしろ、

整理された情報があるから、AI検索が役に立つ

と考えたほうが現実に近いです。

共有フォルダのままでも解決できる場合がある

ここでも、新しいシステムが必ず必要とは限りません。

たとえば、

  • ファイル数がまだ少ない
  • 利用者が数人だけ
  • 案件単位のフォルダ構成が定着している
  • 探す項目が顧客名と案件名くらい

であれば、Google DriveやOneDrive、共有フォルダの整理だけで十分な場合があります。

フォルダ構成を、

顧客 → 案件 → 図面

のように統一する。

入力するファイル名をある程度揃える。

それだけでも改善できます。

逆に、

  • 図面・写真が大量にある
  • 複数部署が利用する
  • 案件をまたいで検索したい
  • 過去案件を参考にしたい
  • 写真の内容から探したい
  • ファイル名では表現できない条件で検索したい

という場合は、データベースやAI検索を検討する意味が出てきます。

「似た図面を探したい」ならAIが活きる

従来の検索が苦手なのが、

「これと似たもの」

です。

たとえば、

「この配管の納まりと似た現場写真」

「この店舗と似た過去案件」

「この図面と似たレイアウト」

といった検索です。

ファイル名では、この「似ている」を表現できません。

ここでは画像認識やAI検索が力を発揮します。

ただし、これも最初から全社の図面を対象にする必要はありません。

たとえば、

過去3年分の特定種類の図面だけ。

特定部署の写真だけ。

一つの工事種別だけ。

と範囲を絞って始めるほうが現実的です。

図面整理で最初にやること

図面や写真が探せず困っている場合は、一度、

最近探すのに時間がかかったものを10件ほど書き出してみる

ことをおすすめします。

そして、

「そのとき、何を覚えていたか」

を確認します。

たとえば、

  • 顧客名は覚えていた
  • 場所は覚えていた
  • 施工した年は覚えていた
  • 担当者は覚えていた
  • 図面の内容だけ覚えていた
  • 写真の見た目だけ覚えていた

などです。

この「人が覚えていた情報」が、そのまま検索項目の候補になります。

つまり、整理を始めるときに最初に作るべきなのは、

命名規則ではなく、検索条件の一覧

です。

ファイル名を変える前に決める3つのこと

図面や写真の整理を始めるなら、まず次の3つだけ決めてみてください。

1. 何を手がかりに探したいか

顧客名、案件、地域、年月、工事種別、図面種別、内容など。

2. その情報をどう残すか

ファイル名、フォルダ、Excel、データベース、AIによる自動抽出など。

3. 誰が登録するか

現場担当、事務担当、システム、AI+人の確認など。

この3つが整理できると、

「共有フォルダを整理すればいい」

「Excelで管理表を作ればいい」

「AIで図面を分類したほうがいい」

「検索システムを作ったほうがいい」

という判断ができるようになります。

AIを入れる前に、探し方を決める

図面や写真の整理というと、AIによる画像認識や検索システムに目が向きがちです。

しかし、最初に考えるべきなのは技術ではありません。

社員がどんなときに、何を手がかりに探しているのか。

ここを整理することです。

それが分かれば、

AIを使ったほうがいいところと、

普通の検索で十分なところと、

そもそも今の共有フォルダのままでよいところ

を切り分けられます。

新しいシステムを作る前に、

まず「探せない理由」を整理する。

図面整理は、そこから始めるのが一番シンプルです。


図面や写真の整理方法が分からない場合は

テイルウインドでは、現在のファイルや業務の流れを見ながら、

今の共有フォルダで改善できるところ、AIが使えるところ、システム化したほうがよいところ

を整理するところからご相談いただけます。

「AIで図面検索を作りたい」と決まっていなくても問題ありません。

むしろ、

そもそもAIが必要なのか

から一緒に判断します。

図面や写真が増えすぎて探せなくなっている場合は、実際のフォルダ構成や探し方を確認すると、改善すべき場所がかなり見えてきます。

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