工場の日報をExcelで集計する人だけ残業していませんか?
製造現場では、作業日報そのものはきちんと書かれている。
それなのに月末になると、管理者だけが遅くまで残っている。
こんな状態はないでしょうか。
現場では、
- 今日何を作ったか
- 何時間かかったか
- 不良が何件あったか
- 設備が何分止まったか
- 誰がどの作業をしたか
を日報へ入力しています。
入力自体は1人5分程度かもしれません。
しかし、その日報をあとから集めて、
- Excelへ転記
- 別シートへ集計
- 部署別にまとめる
- 製品別に集計する
- ピボットテーブルを更新する
- グラフを作る
となると、管理者側の負担は一気に大きくなります。
問題なのは、
日報を書くことではなく、日報を使える情報に変える作業
です。
この記事では、工場の日報をExcelで集計すると負担が増えやすい理由と、どこから改善すると効果が出やすいのかを整理します。
現場では5分、管理者は毎月何時間も使っている
たとえば、作業員20人が毎日5分ずつ日報を書くとします。
現場側からすると、1人あたりの負担はそれほど大きく見えません。
しかし管理者は、その20人分を毎日または毎月まとめます。
さらに、
- 作業時間
- 生産数量
- 不良件数
- 停止時間
- 残業時間
などを別の管理表へ集める。
場合によっては、
「Aさんの日報がまだない」
「この数字はどの工程の分ですか?」
と確認もしなければなりません。
つまり、日報業務は、
書く人より、集計する人に負担が集中しやすい
という特徴があります。
よくある状態1:紙の日報をExcelへ転記している
工場では、現場で紙の日報を書くケースがまだ多くあります。
理由はシンプルです。
- 作業中にPCを開けない
- 手袋をしている
- 工場内に端末が少ない
- 紙の方が早い
だからです。
紙そのものが悪いわけではありません。
問題はそのあとです。
紙の日報を事務所へ持ち帰り、誰かがExcelへ入力し直す。
この時点で、
同じ情報を2回書いている
ことになります。
さらに、
- 字が読めない
- 記入漏れがある
- 数字が不明
- 単位が違う
といった問題があると、確認作業も発生します。
よくある状態2:日報Excelが人ごと・工程ごとに分かれている
紙ではなくExcel入力でも、問題が解決するとは限りません。
たとえば、
- 加工班.xlsx
- 組立班.xlsx
- 検査班.xlsx
に分かれている。
あるいは、
担当者ごとに別ファイルを使っている。
すると月末に、
各Excelを開く
↓
必要な行をコピー
↓
集計用Excelへ貼る
↓
関数を修正
↓
グラフ更新
という作業が発生します。
Excel化した結果、
紙の転記がコピペに変わっただけ
というケースもあります。
よくある状態3:自由記述が多く、集計できない
日報には、
「本日の問題」
「設備停止理由」
「気づいたこと」
といった自由記述欄がよくあります。
現場では便利ですが、あとで集計すると大変です。
たとえば設備停止理由が、
- 材料待ち
- 材料が来なかった
- 部材不足
- 材料遅延
と書かれていた場合、人間には同じような原因だと分かります。
しかしExcelでは別の文字列です。
そのため、
「今月、材料待ちで何時間止まったか」
を出そうとすると、人が内容を読みながら分類しなければなりません。
日報は残っているのに、
分析できるデータになっていない
状態です。
よくある状態4:月末にならないと問題が見えない
これも大きな問題です。
毎日日報を書いていても、集計が月末なら、
問題に気づくのも月末になります。
たとえば、
ある設備で停止時間が少しずつ増えていた。
1日単位では大きくない。
しかし1か月集計すると、かなりの時間になっている。
そこで初めて、
「今月この設備、ずいぶん止まっているな」
と気づく。
本来なら途中で対策できたかもしれません。
日報の目的は記録を残すことではなく、
異常や改善ポイントに早く気づくこと
のはずです。
よくある状態5:集計方法を1人しか知らない
日報の集計Excelは、長く使うほど複雑になります。
- SUMIFS
- VLOOKUP
- XLOOKUP
- ピボット
- マクロ
- 外部参照
- 非表示シート
が増えていく。
すると、
「このファイルは○○さんしか分からない」
という状態になります。
その人が休むと、
- 集計できない
- 数式が壊れても直せない
- 月次資料が遅れる
といったことが起きます。
これはExcelの問題というより、
業務ルールがファイルの中に埋め込まれていること
が問題です。
日報で本当に見たいのは「入力された内容」ではない
工場長や管理者が本当に知りたいのは、
日報そのものではありません。
たとえば、
- 今日の生産数量
- 製品ごとの工数
- 予定と実績の差
- 不良が多い工程
- 停止時間が長い設備
- 残業が増えている班
といった情報です。
つまり、
日報は目的ではなく、経営・現場改善のための材料
です。
にもかかわらず、
「日報を回収すること」
が業務のゴールになってしまうと、入力だけが残り、活用されなくなります。
いきなり高度な工場システムを入れる必要はない
ここで、
「それならMESや生産管理システムを導入しないといけないのか」
と思うかもしれません。
必ずしもそうではありません。
小規模な改善なら、
- 日付
- 作業者
- 製品
- 工程
- 生産数量
- 作業時間
- 不良数
- 停止時間
- 停止理由
をスマートフォンやタブレットから入力できるようにするだけでも変わります。
入力されたデータを最初から一か所に保存すれば、
月末にファイルを集める必要がありません。
入力と同時に集計される状態を作る
理想は、
現場で入力
↓
データ保存
↓
自動集計
↓
管理者が画面で確認
です。
たとえば現場が10時に、
「設備A 30分停止」
と登録したら、その瞬間に管理画面へ反映される。
管理者は、
- 今日
- 今週
- 今月
の停止時間をいつでも確認できます。
月末になって初めてExcelを集計する必要がありません。
自由記述はなくす必要はない
日報をシステム化すると、
「全部選択式にしなければならない」
と思われることがあります。
しかし、自由記述は残しても構いません。
たとえば、
停止理由は、
- 設備故障
- 材料待ち
- 段取り
- 品質確認
- その他
から選ぶ。
詳細だけ自由記述する。
こうすると、
集計できる情報と現場の細かい情報を両方残せます。
さらに必要であれば、自由記述をAIで分類し、
「材料関連」
「設備関連」
「品質関連」
のようにまとめる方法もあります。
「日報を書く時間」より「集計時間」を見直す
日報改善というと、
「入力時間を短くしよう」
と考えがちです。
もちろんそれも重要です。
しかし、一度確認してほしいのが、
管理者が日報の後処理に何時間使っているか
です。
たとえば、
毎月6時間かけて日報集計をしている。
年間では72時間です。
そこに、
入力漏れ確認や数字の修正、会議資料作成まで含めると、さらに増えます。
現場1人あたりの5分よりも、
管理者側の集計負担の方が改善効果が大きい場合があります。
こんな状態なら見直すタイミング
次の項目に複数当てはまる場合は、日報管理の見直しを検討してもよいかもしれません。
- 紙の日報をExcelへ入力し直している
- 複数のExcelを毎月まとめている
- コピペ作業が多い
- 月末に集計担当者が残業している
- 未提出者を毎回確認している
- 自由記述が多く分析できない
- 設備停止理由を人が分類している
- 日報データが月末まで活用されない
- 集計Excelを1人しか触れない
- グラフを毎月手作業で更新している
もし当てはまるなら、
問題は日報を書くことではなく、
入力したあとに人が加工しなければ使えないこと
かもしれません。
Excelを完全にやめなくても改善できる
今使っているExcel帳票を残したい会社も多いと思います。
その場合、
現場からの入力だけWeb化して、
集計結果をExcelやCSVとして出力する方法もあります。
つまり、
入力はシステム
↓
集計は自動
↓
必要ならExcel出力
という形です。
こうすれば、これまで使っていた月次資料や社内フォーマットをすぐに全部変える必要はありません。
日報は「提出物」から「見える化の材料」へ
日報を改善するときに重要なのは、
立派なシステムを作ることではありません。
現場が無理なく入力できて、
管理者が手作業で集計しなくても、
「今どうなっているか」
を把握できることです。
毎日データを集めているのに、
月末まで誰も見ていない。
集計するために管理者が残業している。
もしこのような状態なら、今の日報をもう少し活用できる形へ変える余地があります。
今使っている日報Excelから改善方法を整理できます
「紙の日報を残した方がよいのか分からない」
「現場に複雑な入力はさせたくない」
「今の月次Excelはできれば残したい」
という場合でも、現在の日報や集計表を確認しながら、
- 今のままでよい部分
- 入力方法を変えた方がよい部分
- 自動集計できる部分
- システム化すると効果が出やすい部分
を整理できます。
大規模な生産管理システムを前提とせず、現在の日報業務を活かしながら、小さく改善する方法から検討できます。
日報の集計や月末作業に負担を感じている場合は、まず現在の運用からご相談ください。